少女は今度、めいいっぱい腕を広げてみせた

「うん!こう…ずらーって感じで!」

その仕草がとてつもなく可愛かった



「あ!もしかして、あそこかな?」

私には心当たりがあった

この先の土手に桜並木がある


そこは中学生の頃

よく春花と歩いて通学していたところだった



「え!知ってるの!?教えて!」

少女は顔をキラキラさせながら聞いてきた


可愛すぎる…!

これも小さい子の特権!


心中そんなことを思いながら

話しを続けた


「いいよ、お姉ちゃんが連れてってあげる!あ、でもその前にお家の人に言わなきゃね」

そうだ

このまま連れて行ったら誘拐だもんね

それだけは絶対に避けないと


「分かった!」

満面の笑みで答える少女に私は聞いた

「お姉ちゃんも一緒に行こっか?」

この子が説明できるのか心配だった


少女は少し間を空けてから

「…うん!」

と返事をした


その間は何だったんだろう

そんな小さな疑問はすぐに消えてどこかへ行ってしまった



「お姉ちゃん、その前にちょっと遊んでってもいーい?」

うーん…

まだ時間的に余裕はあるから大丈夫、かな?


今日は午前放下で

今、1時を過ぎたばかりだった



「よし!じゃあお姉ちゃんと遊ぼっか!」

「うん!!」


その後、少女のやりたい遊びをした

公園のブランコ、シーソー

鬼ごっこ、だるまさんが転んだ…

私が小さい頃よく遊んだものばかり


最近の子もやっぱりやるんだなー

なんて、呑気に考えながら遊んでいた


少女の笑顔がキラキラと輝く

いつまでも見てたいと思うけど

そろそろ行かないとね



私達は遊ぶのをきりあげて

この子のお家へ向かった


家に行くとお母さんが一人出迎えてくれた

見ず知らずの高校生に

可愛い娘を預けてくれるのか、心配していたが

なんの疑いもせず

快く了承してくれた




そして、桜並木までの道のりで

私はまだ聞いてないことを尋ねた

それは…

「今更みたいな感じだけど、名前聞いてもいい?」

そう名前

今の今まで名前を聞かずに遊んでた


もっと早く気づけって感じだよね

私もそう思う…うん…


「あ、私はミサキって言うんだけど…、漢字はね、美しく咲くって書くんだよ」

まずは自分から名乗らなきゃね

「私は…ツボミっていうの」

「へぇ、可愛い名前だね!」

私は本心を言った

だけど、つぼみちゃんは表情を曇らした



どうしたんだろう…