いつも僕は

この桜並木にいる

だけど桜の木には寄りかからないで

ただ立っている


隣を流れる川

立ち並ぶ家にビル

遠くにはまだ雪をかぶった山々

そして満開の桜

ずっと昔からここにいる

僕の定位置


だから別に1人なんて

慣れっこなんだ


仲間がいないわけじゃないけど

でもやっぱり1人なんだって思うんだ


この桜が散ってしまったら

僕は…




だけど最近

気になってることがある


近くにあるベンチに座る

あの女の人について…


彼女はまだ高校生ぐらい


いつも道行く同い年ぐらいの子達を

羨ましそうに満足そうに微笑んで

悲しそうに寂しそうに目を逸らすんだ




君はあの子達のように笑わないの?




彼女はいつも朝のこの時間だけやって来る

桜の花が満開になってからは毎日

顔を見るようになった



その表情が気がかりで僕は仕方ない




でもその理由は分かる

その服装から



君は病気なんでしょ?

その病院のパジャマ

一目見れば分からなくない



彼女は僕と同じようにどこかを眺めている



君も僕と同じ…?