私は毎週の習慣である路上ライブは休むことなく、テストに向けての勉強にも取り組んでいた。


正直に言おう。
とてつもなくしんどかったし、辛かった。

勉強というものにこれほどまで真剣に向き合ったのは、たぶん高校受験以来だと思う。
もちろんボーッとしないで授業もちゃんと聞くし、課題の他にも自主的に予習復習をこなす。

自分の物事への意識が変わってから、初めてのテスト。
なんとしてでも結果を出したかった。




「萩原、順位かなり上がってたけど何かあったのか?いや、やる気を出してくれるのは嬉しいんだがな」


担任が驚きながら、私に期末テストの順位表を手渡す。
私は隠し切れない笑みを浮かべて、その1枚の紙を受け取った。

自分の席に戻ると、尾瀬くんが見せろと言わんばかりの表情で私の手元を凝視していた。
その様子がおかしくて、笑いながら座席に腰を下ろす。

こうして順位表を受け取ると、改めて、今回の結果に嬉しさがこみ上げてきた。
前回より順位は格段に上がっていて、全く手の届かなかった100位以内に足を踏み入れた。

きちんと勉強に取り組むようになってまだ二ヶ月なので、この結果は上出来と言える。


「どうだった?教えてくれないの?」


そんな声を受けて左隣を見ると、尾瀬くんは未だに私の手元を見つめていた。


「盗み見るんじゃないの?前回みたいに」

「え、それ言っちゃう?」