しかし、塾以外の古谷さんは、
恋に悩むナイーブな少年だったり、
ただの変態おじさんだったり。
そして、
強引なオオカミだったり…。
かぁぁぁ。
思い出しただけで顔が熱くなってきた!
お、落ち着け、自分…!!
切りかけのブロッコリーが乗っているまな板の前で、私は顔を抑えてあわあわする。
すると、パタパタとスリッパの音がして
ふぁぁー。と大きなあくびをしながらお母さんがやってきた。
お母さんの寝起きの顔が慌てふためく娘の姿を捉えて、大きく横に傾く。
「…何してんの?」
「な、何でもないよ!」
顔の前で手をぶんぶん振りながら、私が焦って答えると、お母さんの首がゆっくり元の位置に戻っていった。
「あー、そー」
適当な返事をして、眠そうな目のまま
お母さんは洗面台へ向かって行った。
「…はぁ」
その背中が扉の奥に消えていくのを見送って、私はため息をついた。
そして、目の前に横たわる緑のブロッコリーをしばらくぼーっと見つめてから、
私もそそくさと料理の方に戻っていった。
