私たちはスムーズに受付を済ませて、
部屋に入った。
「カラオケ久しぶりー!!」
「じゃあ、たくさん歌えー」
「おっす!」
制服のブレザーを脱いで、軽くリボンを緩める。
「電気、ちょっと暗くするよ?」
カラオケの部屋はちょっと暗めの方が好きな私は、いつも女友達と行くノリでそう聞いてしまった。
「なに?誘ったんの?」
「はぁー?なに言っ…」
呆れて古谷さんの方を見ると、薄暗くなった部屋でちょうど着ていた上着を脱いでいるところだった。
別に何でもないことなのに、ちょっとドキドキしてしまう自分を殴りたい。
「はいはい、そういう発言はいいから」
きっと赤くなっている顔を古谷さんに向けないようにして、マイクをつきだす。
「お先にどーぞ!」
部屋、暗くしておいてよかった…。
カラオケがふたりきりの密室になるということに今になって気づいて、私はさらにドギマギしてしまう。
「はいはい」
そんなこと気にするはずもない古谷さんはマイクを受け取ると、早速曲を入れて歌い始めた。
「…おぉ。」
うまい。
普通に、いや普通よりうまい。
てか、歌い声カッコよすぎ…。