「からかわないのー!!」
「面白いんだもーん」
古谷さんはケラケラ笑いながらも、
はいっと言ってウエットティッシュを渡してきた。
「…ありがと」
「あいよー、じゃ出発しまーす」
「はーい」
私たちを乗せた車は、今度こそカラオケ店に向かって発進した。
「莉奈って、アーティスト誰が好き?」
「んー、そうだなー」
正直、これといって好きな人はいない。
大体有名なところをちらほら聞いたことがあるだけだ。
「あんま、アーティスト詳しくないんだけど椎名さんとか好きかな」
「あー、いいねぇー」
「でも、なんでも歌うかなー。CMソングとかで有名なやつとか」
「そっかー、俺今日何歌えばいいかなー」
「好きな曲歌ってよ!」
車がカラオケ店の駐車場に入る。
「ちゃんと盛り上がれよー」
「任せとけって!」
ふたりで車から降りるとカラオケ店に入っていった。