私は、古谷さんの車に乗りこんだ。
今日は何も言わずに助手席へ。
「さてさて、お嬢さん」
「なんですの、お兄さん」
「お昼は食べましたか?」
「いいえ、食べてませんわ」
「了解致しました」
車が出発する。
古谷さんはおもむろに音楽を流し始めた。
「あ、これ」
「わかる?」
「お兄さんの好きなアーティストさんの曲でしょ?」
「おお、よくわかったじゃん」
…だって、
わざわざ聞いてきたんだもん。
昨日の夜、カラオケ行くことが決まってから一生懸命このアーティストさんの曲を聞きまくった。
少しでも、話があった方がいいじゃん。
少しでも、長く話していたいじゃん。
なんて、
彼には口が裂けても言えないけど。
「まあねー、私の友達がちょうどハマってるんだよね!」
「まじか!」
「私もハマりそうで怖いわー」
なんちゃって。
莉奈ちゃん、盛大に嘘ついてます!
乙女心の可愛い嘘くらい、
許してよね?神様!
