あの電話した夜から数日。



私たちはどちらかが早くて寝しまわない限り、ほぼ毎晩のように電話をしていた。



古谷さんが電話してくるのは、
決まって12時付近。


なんだか、最近はその時間が近づくとそわそわしてしまう。
かなり重症だと自分でも思ってる。
でも、体は正直なのだ。




今日も12時が近づいてくる。


私は布団の上でそわそわとケータイを見つめる。
いつ通知が来ても分かるように、普段は切っている通知もonにしてた。




『莉奈、電話ー』



きたきた!
待ちわびえたお菓子を与えられた子供のように、私は喜ぶ。




『ん、いいよー』



そう返信した途端にかかってくる電話。
もう慣れてしまったため、驚き慌てることはない。



「はいはーい」

「うー、莉奈ぁー」

「なっ、どーしたん?」




どうやらご乱心の古谷さん。
何かあったみたいだ。




「前カノに、好きなやついるらしい…」




えっ、早くも壁に激突!?

この間聞いた話によると、前の彼女さんと別れたのは4ヶ月ほど前のことらしい。
2年以上付き合っていたらしいが、古谷さんから別れを切り出したらしい。




「彼氏なの?」

「まだ、詳しくはわからない…」




あー、どうしよー。

と古谷さんが叫んでいる。
これは大荒れの模様だなー。




「まだ彼氏って決まったわけじゃないんだし、落ち着いて!」

「ううー、でもなー、俺と別れる時にずっと相談に乗ってくれていた相手らしいんだよー」

「おぉ…」




よくある、あれですな。
恋愛相談をしていたら、そっちの方が好きになっちゃったっていう…。




私と古谷さんの間には
到底起こり得ないことですね。