私と彼の距離はこうしてまた1歩1歩と前進していった。
呼び方も『古谷先生』から、
「古谷さん」とか「先輩」、「お兄ちゃん」など打ち解けた感じに変わっていった。
これが良いことなのか。
はたまた悪いことなのか。
私には判断できなかったが、少しでも彼の気持ちを楽に出来ているならそれでいいと考えていた。
「なんか、古谷先輩だとついつい話しすぎちゃうわー」
「俺も自分から連絡とるのなんて莉奈くらいだからなー」
「え?」
どくん、と心臓が跳ねた。
だって、
他の子にも連絡先教えてるんでしょ?
私だけじゃないんでしょ?
「そんな生徒とほいほい連絡するわけないだろうが」
「そうなの…?」
「当たり前だろー」
そんな、特別感出さないで…。
私そういうところに弱いんだよ…。
「俺から連絡するのなんて、莉奈だけしかいないよ」
ぎゅ。
私の心臓が鷲掴み状態です。
この野郎…私を萌殺しさせるつもりか?
お返しがわりに、こちらも反撃。
「そーなの?てっきりみんなと連絡とってるんだと思ってた!」
「そんなわけないだろ」
「…私もこんなに電話したのは古谷さんがはじめてだよ」
しばらく黙ってから
ふっと古谷さんは笑った。
「可愛いこと言ってくれるじゃん」
ぎゅーっ。
再び握り潰されかける私の心臓…。
結局胸を痛めたのは私でした。
