数分後、ゆっくり息を吸う音が聞こえた。
「莉奈」
「んー?なーに?」
「…ちょっと癒して」
いつもの声とは違う、小さめな声。
何があったのかはわからないけど、
古谷先生から頼られているということに
私は幸福を感じた。
「もちろん。」
私が駅の待合室で待っていると、足音がゆっくりと近づいてきた。
顔を上げると古谷先生がニコッと笑った。
「お待たせいたしました、お嬢様」
そういいながら手を差し出す。
私はくすくす笑いながらその手を取り、先生にエスコートされながら駐車場にとめてある車へ向かった。
「どうぞ」
「どうも」
先生が助手席のドアをあけたので、
私は流れで前に乗る。
先生も運転席に乗り込むとふたりきりの空間になった。
どんどん無言に支配されていくこの空間から抜け出そうと、私の頭はフル回転。
しかし、いい案が思い浮かばない。
私がひとりでぐるぐる考え込んでいると、先生が車のエンジンを入れた。
「じゃ、出発しますね」
「は、はーい」
「莉奈、家どこだっけ」
「え、家?奥山市だけど…」
「おーけー」
送っていってくれるってことかな?
それまでのドライブってことね。
「ありがとうございます」
「いやいや、俺のわがままだし」
そのわがままの原因がそろそろ聞きたいのですが…
絶妙なタイミングで赤信号になり
車が止まる。
私は先生の横顔をチラッと見た。
先生もこちらをみていた。
