旅行の話はというと、悠太が帰って来て(たまたま麻友美と子供達と買い物に行っていた)、絢美のブログを見て、

「あ、旅行ね、父に話してあるから打ち合わせしたらいいんじゃないかなぁ。ぼくより絢ちゃんの方が父も納得するし、ぼくが話すと、ただの親子の会話になるにすぎないし。それだけでしか通らない。電話番号教えるからかけてみたらどうかな?提案した本人が直接話すのが、家族にとっていいんじゃないかな?父も、母の大切な人の子供と話すことは嬉しい事。かわいい限りですから。」
「でも…。」
「いざとなったら代わるから。ぼくは祐貴君の何?」
「…わかりました。」

絢美は平川家に電話をかける。

「もしもし、平川です。」

女の人が出る。絢美は、

「あ、あの…坂井です。」
「坂井さん?」

悠太は代わる。

「もしもし、悠太だけど。」
「悠太君!?」
「ああ、義姉さんですね。父さんに代わってくれませんか?あの、坂井で。」
「わかりました。」

保留音。

「どうぞ、」

悠太は絢美に受話器を渡す。絢美は、

「……。」
「里菜ちゃんだから大丈夫って、アニキのお嫁さん。妊婦さんだよ。5か月目入って、安定してきたらしい。ま、後で話すよ。」

「もしもし、代わりました。」

悠太の父親である。

「あの…。」

絢美が話そうとすると父は、

「息子から聞きました。ありがとう。あなたが提案したと。私らは賛成です。妻と長男夫婦と長女。少しだけ心配なのは長男のお嫁さんの体調です。身重な身、あまり負担をかけたくないとは思っています。息子に聞いてみたのだが、息子は、お嫁さんを守るから心配しないでと。あなたがたは大丈夫ですか?産後でしょう?私達はお嫁さんの為にも早急に対処しないといけないと思っているのですが、そうなると産後の大事な体も気遣わなければいけない。お医者さんと相談もした方がいいのではないだろうか?」
「ありがとうございます。子供にとって、なかなか会えないおじいさんやおばあさんやおじさん、おばさん、いとこに会うことはいい刺激になります。母らが娘らと会いたがっているのは事実です。母親になって初めてわかった親の偉大さ。たくさん親孝行したいです。」
「わかりました。優しい女性ですね。」

父は里菜を呼び、