それはもう

尋常ではない動きの早さだった。


「あの長谷川くんを抜かすだなんて…」

私と心嶺ちゃんは口をポカーンとあけている。


いや、しまらないほど



圧倒的な力だった。


その日の練習は


少しも目が離せない練習だった。


サッカーをしている砂山くんは


いつもと何か違う雰囲気が出ていた。


「ますます、不思議なひと」


自然とそう呟いてしまっていた。