「余命1年です。」






こんな言葉が私の耳に酷く響いた。

『なんでなんでなんで……』

と私は心の中で返答の出来ない質問をずっと繰り返していた。

そんな私にとどめを刺すかのように白衣を着た悪魔は言った。

「右肺に大きい悪性の腫瘍が出来ています。
この大きさだと、摘出は無理と言ってもいいでしょ。」

先生はレントゲン写真を見ながら言った。

その写真には確かに一般人の私でも分かるくらいの赤ちゃんの手2個分くらいの白い陰が映り込んでいた。

あぁ、これは夢なんかじゃあないんだ。

現実なんだ。

これは紛れもなく現実。

でもまだ16歳になったばかりの私にはとても悲しすぎる、そして辛すぎる現実だった。

この事が嘘であればいいと心の中で叫んでいた。