「……悪かった」 先生が、言い辛そうに切り出した。 それでもしっかり私を見て、口を開く。 「本当は、美味しかったんだ」 ミネストローネ、そう言って小さく口元が綻んだ。 一瞬で体温が上がった。 あの極上の笑顔には程遠いけど。 今はそれで十分だ。 「あ、ありがとうございますですっ!」 嬉しかった。 叫び出したいくらい、嬉しかった。 あの憎き壁に僅かな亀裂が入った気がした。