「もういないってことは、もう新しい思い出を作れないってことです。そんな大切なもの忘れてしまったら、いつか絶対後悔します」
どうか、チカの中のいのりを消してしまわないで。
いのりが生きた証を覚えておいて。
先生の目が真っ赤になった。
でも、泣きそうで泣かない。
「……すみませんでした」
軽く頭を下げて、ドアに向かった。
ごめんね、いのり。
きっとまた嫌われちゃったよ。
余計なこと言っちゃったから。
先生が踏み込んで欲しくないところに、足をのばしてしまったから。
でも、少しでも届いていればいい。先生の心に。
