「……耳……」 ふいにこっちを向いた先生に言われて、耳を触っていたことに気付く。 「ああ、なんか癖みたいです」 笑っていい雰囲気ではなかったけど、とりあえず笑った。 「……木原を見てると、思い出したくないことを思い出す」 それは、いのりのこと? この前「知らない」と言っていたいのりのこと? 今は聞いてもいい気がした。 だって、切り出したのは先生だ。 「いのり……さん、のことですか」 さんを付けたのは、そうした方がいいと思ったから。