震える手を取った。
両手で包み込むようにギュッ、と握る。
先生の大きな手は私の手には余ったけど、
真っ白なその手に、少しでも温もりが伝わればいいと思った。
「大丈夫、大丈夫。私が側にいるよ」
無意識に呟いていたその言葉に、震えが止まった。
唇がかすかに開く。
“いのり”
そう動いたような気がしたが、吐息のようにもらした小さな声は、私の耳には届かなかった。
「先生?」
見上げると目が合って、でもすぐに逸らされた。
「……悪い」
手を離され、
先生は逃げるように廊下の奥へと消えてしまった。
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