「このスープおいしいね、さすが菜々美ちゃん!」


先輩に誉められて、嬉しくてちょっとニヤけた。

余ったトマトを使って作った、ミネストローネ。


「ありがとうございます」




料理は得意だ。

――私ではなく、いのりが。


誰に教わった訳でもないのに、大概のものが作れる。

しかもおいしい。


工程も味付けも、全部いのりの感覚だ。


記憶の中でも時々何か作っている。


いのりは料理が上手で、

チカのために作っている時間が、とても幸せだったみたい。