高校生くらいの男の子。


少し遊ばせた黒髪。

くっきりとした二重。

唇の端にちいさなホクロ。


整った顔のイケメン君は、私の夢の中で主要な登場人物だ。


私は彼を「チカ」と呼び、

彼は私を「いのり」と呼ぶ。



でも、私の名前はいのりじゃないし、

私は彼と実際に会ったこともない。



――これは、私の中に眠る、前世の記憶。