向かった先は、数学準備室。 コンコン、とノックすると「どうぞ」と先生の声が返ってくる。 「失礼します」 「木原か。どうした?」 冷めた目をしてるな、そう思った。 いのりの記憶の中の若いチカとは大違い。 それでも、向かい合うと胸が高鳴って。 変なことを言ってしまわないように、またいのりを心の奥に追いやった。 「先生、お話があります」 真剣な声を出すと、椅子を勧めてくれた。