『チカ、だってよ! 女みてぇ』
『うるせぇ! その名前で呼ぶんじゃねぇよ!』
『……ち、ちかい。……ごめんね』
『何がだよ? どうした、いのり?』
『……だ、だって。女みたいだって言われてるの聞いちゃって。
チカって呼ばれるの本当は嫌だったんでしょ?』
『あんなのいのりが気にすんなよ。俺は全然嫌じゃない』
『でも、その名前で呼ぶな、って言ってたじゃない』
『いのりだけは特別。いのりにチカって呼ばれんのが俺は好きなの。いのり以外の奴に呼んでほしくないの。
だから、ちゃんと呼んで』
『……チカ……』
『うん。やっぱりそっちの方がいい。
……ほら、もう泣くなよ。可愛い顔が台無し』
『…………っ!!』
