「ある日俺、あいつに怒ってさ。
『いつまでそうしてんだよ! 頼むからいのりの分までちゃんと生きてくれよ!』って。
そしたらあいつボロボロ泣いて。子供みたいに。
我慢してたんだろうな。本当はずっと泣きたかったんだろうなって思ったよ。そん時やっと感情を出してくれた」
また空気が変わった。
今度は少し明るい方に。
「そんで、そっから少しずつ学校にも行けるようになって。まあ、俺が毎日引きずるように連れてったんだけど。
2年になって進路希望出すときにさ、『教師になりたい』って言い出して。理由は言わなかったけど、すげぇ嬉しかったな。将来の話が出来るならもう大丈夫かなって」
その理由を私は多分知っている。
『教えるの上手だね』
『チカが先生だったら数学もっと好きになったのに』
図々しいかもしれないけど、あの言葉がきっかけだったって思ってもいいかな。
いのりの言葉が先生の支えになってたって、思ってもいいかな。
