家に帰ると、窓から明かりが漏れている。 「よぉ!」 「……何でいるんだよ」 「冷たいねぇ。たまには歓迎してくれよ」 樋口 直人(ひぐち なおと) 俺のマンションの合鍵を持つこの男は、当たり前のように居間でくつろいでいた。 IT系企業に勤める直人は、仕事帰りにそのまま寄ったのかスーツを着ている。 「何しに来たんだよ」 「んー、梅雨だなぁと思って……」 直人はテーブルに肘をつきながら憂いを帯びた目でこちらを見た。