「すげぇ美味いよ……ありがとう」 声が震えてしまわないように、力を込めた。 そのまま腰を上げる。 「先生!」 呼び掛けには答えなかった。 彼女がいのりなんじゃないかと思うことがある。 そんなことあるはずがないのに。 そんなバカげたことを考えてるから、玉子焼きの味が同じだと錯覚でも起こしたんだ、きっと。 ……だってありえないだろ。 雨の中駐車場までの道を走った。 いつもは濡れることも嫌な程大嫌いな雨が、その時は気にならなかった。