「部活で和食を作ったんですよ。煮物と、お味噌汁と、あとこれ」 隣に並ぶ形で腰を下ろした俺に差し出したのは、小さなタッパーに入った玉子焼きだった。 玉子焼き。タマゴヤキ。 いのりの作る料理の中で俺はそれが1番好きだった。 「うち、玉子焼きはだし巻き派なんですよ。でも私いっつも甘い玉子焼き作っちゃうんです。だから家族から不評で。……だから、」 もう一度、ぐいと差し出される。 「食べてくれたら助かります」