数学準備室を出た階段の側で、鉢合わせた。 「あれ、先生!」 俺の心を救ったこの子との距離は、徐々に近付いてきていた。 俺の姿を見つけて、以前よりも屈託なく笑う。 「木原、まだいたのか?」 どんよりとした雲も手伝って、空はもう薄暗い。 「1回駅まで行ったんですけど、忘れ物しちゃって」 戻ってきました、と小さく舌を出した彼女の肩や足は濡れていて。 それを見て、何故か胸が痛んだ。