奪いとれっ!!

「堅斗(けんと)っ、堅斗ったら!!」


「.....」


ちょっと取り込み中みたい....?


獅倉くんはお母さんを無視して一人で歩く。



「待ちなさいっ、堅斗っ」


お母さんの呼びかけに一切答えることなく、獅倉くんはこちらに向かってくる。



わっ、えっとこんな時はどうしたらいいのかな。


って、焦っている間に....。



門の前で立つ私の目の前まで獅倉くんが来てしまった。


「あっ、あのっ」


とっさと言うか、思わずと言うか獅倉くんに呼びかける。


勇気を出して声を掛けたつもりだったのに、彼は完全スルーして行ってしまった。



えっ、マジで....。


私を一瞥しただけだった。


冷たく、無感情な瞳。





心に冷たい風が吹く。


.....私、来ちゃダメだった?


切ない感情がこみ上げてくる。


私に何かできるなんて思ってない。


『関わるな』って言われたけど、心配だったから。