奪いとれっ!!

まだ森に霧がかかる早朝、私たちはシスターにお礼を言って教会を後にしていた。


堅斗と過ごした一夜は、私にとってかけがえのない想い出。


左手の薬指。

私たちにしか見えない指輪がここにある。



ほんとはこのまま二人で逃げてしまいたい。


.....でも、それは.....できなかった。


堅斗に、本当のこと言えなかった。


言ったら....堅斗がどうするか私にはわかる。

堅斗はだいじな受験が控えてる。

堅斗の人生を壊すわけにはいかない。


それでも、それでも.....私は幸せなんだから。


堅斗にただ一度、愛された想い出があればそれで充分。


.....ただ、ごめんね。

別れようって言えなかった私を許して。

ごめんね堅斗。