「....知らないところ?」


堅斗は呟いたっきり何も言わない。


あっ、また電車が入ってきた。


これで....何台目なんだろう。


「とりあえず、終点まで行ってみる?」


「.....うん、でも満員電車やだ」



私たちの前を過ぎてゆく電車はまだ多くの人を乗せて走っている。


「じゃあ、キスして時間つぶす?」


「....うん」



.....。


特急が大きな音を立てて、私たちの前を通過してく。

制服のスカートが風に揺れる。

電車の窓から漏れる明かりに照らされて二つに重なる影がホームに落ちていた。