────私たちの前を何本の電車が過ぎていったんだろう。


陽はすっかり沈み、夜があたりを完全に支配して数時間。



「帰らなくていいのか?」


「うん」


「門限平気?」


駅舎の壁に掛かる大きな時計に視線をやる。


もうすぐ午後9時.....。



「今日は帰らない」


「ん?」


どうせ私たちの降りる駅には遼さんの監視役が待ち伏せしてるんだから。

このまま帰ったら捕まっちゃう。

堅斗と一緒にいたい。

だから、

「あのね....どこか知らないところに行きたい」

そう口ずさんでいた。