校舎の4階にある食堂は白を基調とした清潔感のある空間で、ほとんどの生徒はここか、1階のカフェテリアで昼食をとる。

窓側の席に私とゆず子は落ち着いた。



「ね~、昨日いいことあったんだよぉ」


日替わり定食をテーブルに置くと、それに手を付けずゆず子は喋りだした。



昨日?


昨日の日曜日は遼さんの家に行って、その後獅倉くんの家にも行って。


「聞きたい?」


「うん、聞きたいっ」



「えへへ、昨日ね遼さんと一緒にお食事したのぉ」


マジでぇ?


「偶然駅で遼さんと会ってぇ、食事に誘ってくれたのぉ。パパもママも相手が遼さんだったから門限も伸ばしてくれてぇ、そのあと家まで送ってくれたんだよぉ。
あ、あのね岩清水さんってパパの大口のお客様なんだってぇ」

頬を赤らめて話すゆず子。


昨日、私が獅倉くんの家に行ってる時にそんなことあったんだ。

やっぱり遼さんの行動は意味不明ってか『瑠理香は俺のもの』とか言いながらゆず子にもどうせ甘い言葉をささやいてるはずなんだから。


「良かったね、ゆず子」

嬉しそうな彼女を見るとそう言わざるえない状況で。



「うん、遼さんすっごく優しかったのぉ」


えっと.....。


プレイボーイの遼さんは、たぶん誰に対してもだけど.....でもゆず子は遼さんに夢中だし困ったな。


言わないほうがいいよね。こんなに喜んでるんだもん。


「連絡先も交換したんだよぉ」