本当にあっという間の出来事で


びっくりしてさっきまで
何しても止まらなかった涙が
ピタッと止まって


ヒクッ


ヒクッヒクッ


涙と引き換えに今度は
しゃっくりが止まらない。


そんな私を見て


フッと優しく笑うと
制服のブレザーを脱いで
バックを片付けると


リビングに行って
飲み物を持ってくると


私に差し出した。


「…ありがと…エイちゃん」


私は鼻つまんでそれを一気飲みすると
ようやくしゃっくりも止まった。


「…落ち着いた?」


無口だけど、どこまでも優しくて
かっこいいエイちゃん。


「うん、エイちゃんありがと。」


「…どうした?」


「ううん、なんでもないよ!
ちょっと、本当にちょっと…
ああ!昨日ね、凄い悲しい映画を借りて来て見たの!それ思い出したら止まらなくなっちゃって…!!本当だよ!!」


必死にごまかす私を
射抜くように見たエイちゃん。



…………



探るような目で私を見る。



綺麗なのに男らしいキリッとしたこの瞳には昔からごまかしが効かないのはわかっているけど必死にごまかす。