菜摘…


ありがとう


ごめんな。


俺は黙って両手を広げると


菜摘は俺に勢いよく
抱き着いてきたので


ギュッと抱き締めた。



「英輔…好き…
小さい頃から大好きだった。
いいよ、幼馴染みに戻ってあげる。
ただし、親友は勘弁よ。
世話の焼ける可愛いヤツ1人で私は
手一杯なの。
そうね、アコに手がかからなくなったら
考えないでもないけど?」



と、言うと目尻りに涙を溜めて
笑った菜摘。


お前ならすぐ俺よりもイイ男が
すぐに見つかるさ。


なんてったってお前は
誰もが振り返るような女じゃねぇか…


俺はゆっくり菜摘から離れると
菜摘は


「負けず嫌いの私の最後の意地悪!」


と、言って
素早く背伸びすると
触れるか触れないかのキスをして



ニッと笑うと
何事も無かったように
すました顔して
教室へ入って行った。