「その前に」
と、先走った説明をする高本先輩に対し後山先輩が言った。
「呼び方はあまり重要じゃない。けどウチの学校はこの分け方だよね。まぁ、つまりはどうやって点を取りたいか決めるんだ。例えば、ほら、旭先輩やミナみたいに粘って相手にミスさせたいならカット型になる。簡単に言うとカット型は粘って相手のミスを誘う戦型だからな。」
「ちょうど旭先輩がカットとつっつきの練習してるじゃん?」
高本先輩の言葉に後ろを振り向くとなんと言えばいいか分からないがカットとつっつきというものをしているらしい。
俺が一言でそれを表すとなればこうだ。
「体力使いそう。」
それを見とってか何か、高本先輩は言った。
「卓球ってどの戦型も体力は使うぞ。」
俺はなぜ、この時、人ごとになっていたのだろうか。俺はカット型と同じレベルで動くことになる、異質攻守型になるという未来が待ち受けているというのに。
「まぁー、俺も入部前は卓球は体力使わないよなって甘く見てたなー」
後山先輩は俺に同調するように言った。後山先輩は確かドライブ型だった。ドライブ型は卓球界に1番多い戦型らしい。これも高本先輩情報だ。ドライブ、というのは決して車を運転する事などではなく技、というか技術の一つらしい。用語は知っておいて損はないと、言われた。ちなみにドライブ型は後山先輩以外にも岡西先輩、大橋先輩、金山先輩、寺牧先輩、藤田先輩とこの部で1番多い。カット型は遠山先輩と高本先輩だけで、残る部員は速攻型もしくは異質攻守型だ。速攻型は中島先輩のみでよく見るとラケットも変な形をしている。卓球のラケットは基本両面で打てるが中島先輩のは片面でしか打てないらしい。これまた変な感じだ。
最後の異質攻守型。御山先輩と万騎だ。ちなみに彼方と洋一は俺と共に説明を受けていて俺はラケットの説明の時にラケットを選んだというより衝動的に決めてしまったのでカット型にはならないというか成れないのだが彼方と洋一はなにも決めておらず今から決めるらしい。(そして多分、それが正しく、普通だと思う。)
御山先輩は見た目はシェイクハンドと同じラケットなのにペンホルダーで持っている。万騎は万騎で変なラケットだ。
「さて、一通り戦型の説明はしたし、どうだい?決めたかい?」
高本先輩は急かさずそれでも丁寧に問いかけた。数秒の沈黙。台の上で跳ねる球の音がよく聞こえる。
「俺…」
そう切り出したのは洋一だった。
「カットになります、そんでミナ先輩に追いつきます!」
…おお。感嘆の声を漏らす間もなく、その勢い込んだ洋一に続いた彼方はこう言った。
「ドライブになります。俺は瀬也先輩を追い越します!」
挑発こそしていないものの煽られた風である御山先輩は
「いいね!俺を超えて見せてよ!」
と乗り気だった。ちなみに高本先輩は
「体力を鍛えておけよ」
と笑いながら言った。いかにも天才らしい二人の対応とやり取りで見ていて清々しいものだった。熱く燃える二人をよそに俺は冷静に考えていた。速攻型か異質攻守型か。異質を選べばまた、比べられる運命だ。誰と?勿論、万騎と。万騎は、天才だ。そんな奴と比べられたら俺は破滅へ一直線だ。どうする?ああ、神に問う。逃げは罪か?いや、神に問わなくてもわかるだろう。己が避けて通ることのできる問題は数少ない。覚悟を決めて挑むしかない…。
と、先走った説明をする高本先輩に対し後山先輩が言った。
「呼び方はあまり重要じゃない。けどウチの学校はこの分け方だよね。まぁ、つまりはどうやって点を取りたいか決めるんだ。例えば、ほら、旭先輩やミナみたいに粘って相手にミスさせたいならカット型になる。簡単に言うとカット型は粘って相手のミスを誘う戦型だからな。」
「ちょうど旭先輩がカットとつっつきの練習してるじゃん?」
高本先輩の言葉に後ろを振り向くとなんと言えばいいか分からないがカットとつっつきというものをしているらしい。
俺が一言でそれを表すとなればこうだ。
「体力使いそう。」
それを見とってか何か、高本先輩は言った。
「卓球ってどの戦型も体力は使うぞ。」
俺はなぜ、この時、人ごとになっていたのだろうか。俺はカット型と同じレベルで動くことになる、異質攻守型になるという未来が待ち受けているというのに。
「まぁー、俺も入部前は卓球は体力使わないよなって甘く見てたなー」
後山先輩は俺に同調するように言った。後山先輩は確かドライブ型だった。ドライブ型は卓球界に1番多い戦型らしい。これも高本先輩情報だ。ドライブ、というのは決して車を運転する事などではなく技、というか技術の一つらしい。用語は知っておいて損はないと、言われた。ちなみにドライブ型は後山先輩以外にも岡西先輩、大橋先輩、金山先輩、寺牧先輩、藤田先輩とこの部で1番多い。カット型は遠山先輩と高本先輩だけで、残る部員は速攻型もしくは異質攻守型だ。速攻型は中島先輩のみでよく見るとラケットも変な形をしている。卓球のラケットは基本両面で打てるが中島先輩のは片面でしか打てないらしい。これまた変な感じだ。
最後の異質攻守型。御山先輩と万騎だ。ちなみに彼方と洋一は俺と共に説明を受けていて俺はラケットの説明の時にラケットを選んだというより衝動的に決めてしまったのでカット型にはならないというか成れないのだが彼方と洋一はなにも決めておらず今から決めるらしい。(そして多分、それが正しく、普通だと思う。)
御山先輩は見た目はシェイクハンドと同じラケットなのにペンホルダーで持っている。万騎は万騎で変なラケットだ。
「さて、一通り戦型の説明はしたし、どうだい?決めたかい?」
高本先輩は急かさずそれでも丁寧に問いかけた。数秒の沈黙。台の上で跳ねる球の音がよく聞こえる。
「俺…」
そう切り出したのは洋一だった。
「カットになります、そんでミナ先輩に追いつきます!」
…おお。感嘆の声を漏らす間もなく、その勢い込んだ洋一に続いた彼方はこう言った。
「ドライブになります。俺は瀬也先輩を追い越します!」
挑発こそしていないものの煽られた風である御山先輩は
「いいね!俺を超えて見せてよ!」
と乗り気だった。ちなみに高本先輩は
「体力を鍛えておけよ」
と笑いながら言った。いかにも天才らしい二人の対応とやり取りで見ていて清々しいものだった。熱く燃える二人をよそに俺は冷静に考えていた。速攻型か異質攻守型か。異質を選べばまた、比べられる運命だ。誰と?勿論、万騎と。万騎は、天才だ。そんな奴と比べられたら俺は破滅へ一直線だ。どうする?ああ、神に問う。逃げは罪か?いや、神に問わなくてもわかるだろう。己が避けて通ることのできる問題は数少ない。覚悟を決めて挑むしかない…。

