ハッ ガバッ『嫌な夢…思い出したくもない』


そうぽつりと私はつぶやいた。

思い出したくもない悪夢のような記憶。

その悪夢が一瞬にして消え去ったあの日。

嬉しいはずなのにそれは私にとったら第二の悪夢の始まりを告げるようでとても怖かった。

ハァお風呂入ろう。

汗ベトベト。気持ち悪い。

そう言ってお風呂を出てきた時ふと思った。

今、何時?

ちらりと時計を見ると、7 時50分の文字。

まぁ入学式だけどいっか。

お腹は……うん‥へってないな。

じゃぁいらないか。

制服はどこだっけ?

忘れた。んー行かなくていいかな?

そう思っていると、

「ニァー」

私を呼ぶように飼っている猫、アルが鳴いた。

『アル、制服のある場所わかるの?』 

私がそう問うとアルは返事をするかのようにまたニァーと鳴いた。

そしてテコテコとアルが歩く後ろをついていくと、

『あった。アル、あたな凄いわね。』

そう言い頭を撫でると手に擦り寄ってきた。

制服に着替えようと服を脱ぎふと痛みを感じ左胸を見た。

忌々しい悪夢を思い出すから見ないようにしていたけどその時だけはなぜかその痛みが気になり見てしまった。

左胸の服に隠れて見えないあたりに十字の焼き印がある。

あの人のモノと言う印。

そしてあの人と私を繋げる忌々しい印。

だけどその印が嫌で私はその印をナイフで傷つけた事がある。

だから十字を隠すかのように3本の傷跡がある。

ハァ醜い傷跡ね。

『急いだほうがいいのかしら。』

時計を見ると8時10分を指している。

入学式は9時30分からだから余裕ね。

「ニァーニァー」

『ん?どうしたのアル?お腹減った?』

「ニァー」

『わかった。ちょっと待っててね。』

えーっと猫缶‥猫缶…あった!

『アル、こっちにおいで。ご飯だよ。』