冬が明け、小鳥たちが鳴く頃。私は、新しい舞台へ一歩前進していた。

桜の木々がレッドカーペットのように、私を舞台へと連れていく。この、桜吹雪はこれからの新しい舞台がうまくいくことを予兆しているようだった。

「あの・・・・。」

そんな私に声をかけてきた見知らぬ男子。

髪が金髪に近い茶色で目が大きく、顔が整っている。
いかにも、”イケメンだ。“制服は私と同じ晴南高校の服のようだ。

「あ、晴南高校なら、あっちをまっすぐ行ったら着きますよ。」

私は右側を指して教えた。きっと、道に迷ったのだろう。

「いや、違うんだ。君、道に迷ったのかと思って。」

え、私が道に迷ったと思ってくれたのか。てっきり、この人が迷子なのかと思ってしまった。すごく恥ずかしい。

「あ、すいません。私、てっきり・・・。」私は頬を赤らめ謝った。

「ううん、こっちこそ親切にありがとうね。でも大丈夫?一年生、早めに学校行かなくちゃいけないけど・・・。」

素敵な笑顔で彼は言った。

「え!?そうなんですか?それはやばい!急がなきゃ!あ、でもあなたもですよね?よし、走りましょう!」

私は焦っていた。そんなの全然知らなかった。私は知らぬ間に彼の腕を掴み引っ張って走っていた。

校門にはたくさん人が集まっていた。私は息を切らし、間に合ったとほっとしていた。

周りから何か視線を感じると思い振り向くと、さっき話していた人が、私と同じように息を切らしていた。

ゆっくりと手のほうに目をやると、私が彼の腕を掴んでいた。はっとなり私は掴んでいた腕を離した。

「君、足早いね。いきなりだったからびっくりしたよ。」

はにかんだ笑顔で私に言った。

「すいませんでした!私、慌ててしまって。」

急いで頭を下げだ。彼は大丈夫だと大爆笑ながら言った。

初対面の人にこんなにも笑われたのは初めてだ。それにしても周りの視線が痛い。

きっと、彼を見ているのだろう。ハーフみたいに綺麗な顔立ちだから、みんな気を取られているのだろう。

この状況が耐えられず、私はお辞儀をして自分の教室まで向かった。


私は自分の教室を確認するため、ホールへ向かった。木下茜・・・二階、一のB。ここが私の新しい舞台。


人見知りな私は、今まで、最初はクラスに馴染めなかった。

でも、途中から人見知りもなくなり、明るくわいわいやっていた。だが、中三の時、その行為が猫を被っているとクラスのある子が言い出した。

それがきっかけで、クラスでいじめられるようになった。

それでも、一番仲が良かった優子はいつも私と一緒にいてくれた。

違うクラスだったけど、お昼ご飯はいつも一緒に食べてくれていた。優子がいてくれたから、私も不登校にならず、学校に行けたのだと思う。

そんな優子も、私と同じ、晴南高校に入った。

優子は朝が弱く、いつもぎりぎりに登校する。今日は間に合うといいけど・・・。

中三の時のようなことは繰り返したくない。そう思い、私は新しい舞台で新しい自分となって高校という、短い三年間を過ごそうと心に決めていた。