「もうすぐ手術が終わる
目が覚めた時にお前がそばにいないと
きっと美夜はまたパニックをおこす」
「・・・・あぁ」
今の俺にはそんな短い返事しかできなくて
病院の奥へ無言で足を進めた
手術室の前には
日向とあの双子がいた
「大翔!」
「・・・すまない。」
「っ・・・美夜のそばにいてあげて」
日向は今にも泣きそうで
その手にはかすかに血がついていた
双子には一切視線を向けることは
しなかった
パっ
ランプが消え
医者が出てきた
「っ美夜は!」
「ガラスはすべて取り除きました
頭も打っていたようでしたので
検査もしましたがそれも大丈夫です
念のため一週間ほどは入院していただきますが
命に別条はありません」
「よかった・・・・。」
「この中にご家族と連絡の取れる方は?」
「俺は彼女のみうちのようなものです
彼女の父は今日本にはいなくて」
「そうですか。
なら少し別室でお話が」
「・・・はい。」
別室に案内され
説明を受けた
「ガラスはすべて綺麗に
取り除くことができました
しかし、破片の一部が大きく
背中を傷つけてしまって
あの傷は一生残ってしまうかと
思います。
それと可能性は少ないありませんが
何らかの後遺症が残ってしまうかもしれません」
「後遺症・・・?」
「神経の一部をかすっていまして
大事には至りませんが慢性的な
痛みが走ったり呼吸がしずらくなったり
人によってさまざまですが
そういったものも覚悟が必要です」
「・・・・・。」
「彼女自身の心の傷も深いでしょう
女性として大きな傷跡は
気分の良いものではないでしょうし
今回の怪我もパニックのようなものからと
聞いています
献身的なケアが必要になります
これから頑張っていきましょう。」
「はい・・・。」
