えっ……?課長の声?

声がする方向を見ると確かに課長だった。

幻ではない。本物だ!!

「お前……何をやっているんだ!?」

「か、課長……」

私は、堪らなくなり匠が掴んでいた腕を強引に
抜くと課長のもとにダッシュする。

そして、そのまま腕の中に飛び込んだ。

課長も私をすんなりと受け入れてくれた。

抱き締めてくれるとポンポンと愛しそうに
頭を撫でてくれた。

「まったく……何やっているんだ?お前は……」

「ふええ~ん。課長……来るのが遅い……」

課長の顔を見たら感情が一気に高ぶった。

涙が溢れて止まらない。 
そんな私をギュッと抱き締めてくれる。

するとそれを見ていた匠は、

「おい、茜!?そいつは、誰だよ?」

驚きつつも怒った口調で言ってくるではないか。

誰と言われても……。

「俺は、コイツの上司だ。
お前か?いかにも怪しい高守って男は?」

課長は、私を抱き締めた状態で匠を睨み付けた。

えっ?違う……高守は、コイツではない。

「課長……人違いです。
この男は、匠。私の元カレです」

私は、慌てて課長に説明をした。