「はぁっ?やれるものならやれば?
その代わり……二度と口を開けないように
お前をぶん殴った後だけどな」

これでも元ヤンなんだ。
なめんじゃーねぇーぞ!!

「ひぃぃっ!?」

高守って野郎がビビっているその時だった。

「ちょっと、あなた達。
何をやっているんですか!?」

ウェイターが私達のことに気づいて騒ぎだした。

ゲッ!?ヤバい……。

このまま警察に呼ばれて捕まったら
会社に影響する。

今、クビになりたくない。

どうしよう。

ウェイターが騒ぐので、周りも何事かと
様子を見に来てしまう。

急いで逃げないと……。

しかし、その時だった。

「何やってんだ!?こっちに来い」

私の手を取り一緒に逃げてくれる人物が現れた。

えぇっ!?

そのままレストランを出てエレベーターに乗り込む。
驚いて彼の顔を覗き込んだ。

本来なら、こういった場合って
恋愛漫画とか小説なら好きな男性が現れて
主人公を連れ出してくれる憧れの
シチュエーションだ。

なのに私を連れ出してくれたのは、
元カレの匠だった。

……って、何でよりにもよってお前やねん!?

思わず心の中でツッコミを入れた。