えっ……?
何でこんなところに!??

まさか……課長が?

いやいや、まさか。
あの鬼課長がマフラーだなんて編む訳がない。

女子じゃないんだから

でも……これは?

チラッともう一度見直すために
手に取ってみた。

赤いマフラーだから女物よね。じゃあ
彼女さんのを間違えて持ってきたとか……。

あぁ、きっとそうよ!

それなら納得だわ。うんうん。

無理やり理由をつけて納得させる。
すると

「課長。この企画なんですが
判子をお願いします」

「あぁ、分かった」

課長の話し声が聞こえてきた。

ギクッ!!

ヤバい……隠さなくちゃあ!!

慌てて引出しを閉めようとする。だが、
慌てて過ぎて指を挟んでしまった。

「いった~!!」

「何をやっているんだ?生田。
俺のデスクで……」」

ゲッ!!

「いや、何でもありません。
アハハッ……」

必死に笑いながら誤魔化すが
私は、気づいていなかった。

指を挟んだ痛さであのマフラーを床に
落としてしまったことに。