そういえば、
課長も似合うと言ってくれたんだった。

心臓がドキッと高鳴ってくる。

似合うと思ってくれているんだ……。

何だか不思議な気分。

嬉しいかも……。

自分達の所属する営業課に着くと
課長は、さっさと自分のデスクに
行ってしまった。

私もデスクに行くと隣の席で後輩の堀下さんが
興味津々に声をかけてきた。

「おはようございます。
ねぇねぇ生田先輩。今日どうしたんですか?
その格好。一瞬見違えて
誰なのか分からなかったですよ」

「えっ?あぁ、ちょっと気分転換に……」

課長宅に朝帰りしたあげく
妹さんの服を借りたなんて口が裂けても言えない。

「そうなんだ~生田先輩ってそういう服を着ると
イメージ変わるんですね?似合う~」

「普段は、ヨレヨレな地味系なのに
今日は、凄くお洒落に見えますよ~清楚系みたいで」

他の女子社員の子も言ってきた。

ヨレヨレの地味系って……悪かったな!?

元ヤンを隠すためにあえて地味系に
選んでいるんだよ!!

何気に失礼なことを言ってくるじゃないか。
後輩の分際で……。

「そ、そう?ありがとう」

取り合えずフフっと笑顔でお礼を言った。

ハァッ……いい顔をするのって疲れるわ。

ため息を吐きたくなってくる。