匠は、昔から自分勝手で自己中な性格だ。

そのせいで付き合ってきた時も散々苦労させられた。
今に考えると何でこんな奴を好きになったのか
分からない。

顔か?それとも総長と言う呼び名や
姫になることの憧れだったのかも知れない。

恋は……何とかって
ことわざもあるぐらいだし。

でも、今は……違う。
匠のことなんて……好きじゃない!!

「やぁっ……やめて。やめてってば!!
あんた……そんなことして
ただでは済まないんだから」

「どうやって……ただじゃ済まないんだ?
説明してみせろよ。ほら、大人しくしろって……。
あ、なんだ。
身体は、覚えているじゃないか……なぁ?」

私を見るなりニヤリと笑う匠。

必死に抵抗してるのに……匠の力は強く
女の私では上手く抵抗が出来ないでいた。

途中で電話が鳴り出した。

も、もしかして課長!!?

課長の言葉を思い出した。

た、助けを呼ばなくちゃあ……!!

拒み携帯に近付こうとする。

しかし、どう考えても届かない……。

な、何で!?

普通……こういう時って少女漫画や恋愛小説だと
好きな人が現れて助けてくれるんじゃないの!?

主人公を……悪い奴から救ってくれるんじゃないの?

課長……助けて。