「……はぁ、っ、はあ……」


後ろに追ってがいないのを確認してから、メノウたちはゆるやかに停止した。


「マルくん速えーよ……!」

「しょうがねぇだろ、追いつかれたらどうすんだ! お前喧嘩できんのか!」

「一般ピーポーのメノウちゃんは、喧嘩なんかしたことすらありませぬっ」


メノウは息を整えながら返す。
頬を疲労で赤く染めたその姿を見て、マルはおもわず手をさしのべた。


「大丈夫か、メ……山田、」

「ん……あー、ひさしぶりに走ったから疲れたあ……」


いまだバクバク鳴る心臓を押さえる。
そして、反対の手でマルの手を取った。


「は、」

「よーし、八百屋さん行こう」

「いやバカ待て待て」


切り替え早く先を急ごうとするメノウの手を強く引っ張った。


「何さ」

「手、」

「手? ……あ、繋ぐの嫌だった?」

「嫌とかそういう話以前だ!」

「そう。じゃあ離す」


あまりに呆気なく手を離したメノウにマルは絶望の表情を浮かべた。


不良を撒くためにいり組んだ道に入ってしまったため、店のある通りとは違う住宅街が並んでいる。

複雑な心境になりつつも、メノウの案内に従った。