「帰りは八百屋さんにも寄るからね」
楽しそうな声色だった。
バナナか。バナナを買うのか。
メノウとマルが横に並ぶと、マルのガタイの良さとメノウの華奢な体がよく際立った。
「駄菓子屋さんって行ったことないんだよね、私」
そんなふうなことを言うメノウは、集まる視線に気づいていなかった。
良くも悪くもマルは目立つ。
整った容姿に。
派手な髪色に。
鋭い目付きに。
……こんな俺といてコイツは迷惑ではないのだろうか。
軽やかな足取りで目的の場所を目指すメノウの真意は、やはり掴めない。
黙っていたら10人中8人は確実に『大人しそう』『優秀そう』と言うであろうメノウの足枷に俺はなっていないだろうか。
そんなことを考えているうちに駄菓子屋に着いた。
メノウが「おー」と声を上げる。
「クラシック、モダン、レトロ」
「古い、をオシャレに言ってるだけじゃねぇか」
「またマルくんはそういうこと言う。よーし、初駄菓子屋さんにレッツゴーだぜ!」
メノウに引っ張られ、古めかしい駄菓子屋へと入って行った。
安いからと大量に買い込んだメノウに、呆れるマル。
帰りがけに元気な店長のいる八百屋でバナナを買い、すべては順調だと……思われた。
