しかし今回の行事は『友だちを作る』のが目的だ。これを期にみんなと仲良くなれればいい、とメノウはマルを見つめる。

当の本人はどうやってこの行事をサボろうかと考えていた。


2人が加わることなく話し合いは進んでいく。


「移動はバスなので、おやつを持ってきてもいいですよ。500円以内でお願いします!」


そのとき、メノウは思ったことをふと口に出してみた。


「マルくん、バナナはおやつに入るのかな……?」

「は?」


その言葉にマルは固まってしまった。バナナはおやつに入るのか。小学生がよく遠足前に使う言葉だ。


「なんでそんなこと」

「恥ずかしながらわたくし、バナナが好物でして……」


ふふと笑うメノウをマルは信じられないものを見るかのような目付きで見た。


「やっぱり、入る? 入るよね?」


ふとそこで、マルはバナナを頬張るメノウを想像してみた。

ちょっと卑猥……いや、リスみたいな感じになるのだろうか。

自分の思春期男子のような思考を断ち切ってマルは考える。……ちょっと見てみたい。


「入るってことでいいんじゃないか?」

「やっぱり!? わーい、持っていこう!」


嬉しそうなメノウを見て、さきほどの思考がどれだけ汚れているかを再確認したマルだった。