8:50

私が会社のオフィスに向かうエレベーターに乗る時間。
私の一日の楽しみの一つ。いつも同じ時間に乗ってくるあなたを見ること。
毎日ぴったり、同じ時間。話しかけたくて気になり始めてからずっと同じ時間に乗っているけれど、どうしても一歩が踏み出せない。

そんなある日の夜。帰りのエレベーターで一枚のハンカチを拾った。見覚えがあるハンカチ。すぐに、あなたのだと分かった。明日の朝に渡そう。そう決めた次の日。

今日のエレベーターは、あなたと私の二人。よし!

  「あ、あの!」

これが私の第一歩。