”別れましょう”

私はそう切り出した。
「どうしたんだよ。急に、理由を聞かせてくれないか?」
「あなたのことが嫌いになったの」
私ははっきりと言った。でも、それは本心ではない。だからなのかもしれない、胸が痛い。
「そうか、嫌われたなら受け入れるよ」
そう言って、彼は私に背をむけた。そして一言、
「病気治るといいな。俺には、想像もつかないくらい苦しいかもしれないけれど、負けんなよ!」
彼はそう言い残して、私に背を向けたまま、歩き出した。

“待って!!”

そう言いたいのに言葉が出ない。頭の中が混乱しているのだろうか。だって、私の病気のことを彼が知っているなんて思いもしなかったから。その間、彼との距離がどんどん離れていく、彼の背中が遠ざかって行くのを私はただ見つめることしかできなかった。

家に帰ると私を待っていたのは母からの衝撃の一言だった。それは、私の病気のことを彼に伝え、これから支えてほしいと言ったことを聞かされた。

私は、自分の部屋に駆け込んだ。そして、枕に顔をうずめて泣いた。