「5秒はえぇ!」



シバくんがアタフタと逃げる。



そうして鬼ごっこをする私たちに、家の方から手を叩く音が聞こえた。



2人とも足を止め、その方向に目を向ける。



「ご飯できたよ」



玉城さんが呆れたように笑いながら、そう告げた。



「やった!行こ美羽ちゃん!」



「うん…!」



春の風が髪を揺らし、太陽の代わりに輝きだした月が3人を照らす。



さっきまで抱いていたはずの悩み事は、頭の中から綺麗さっぱりなくなっていた。