「早く行って下さい」



肩をポンッと押すと、玉城さんが一瞬ピクリと動いた。



「ごめん」



そう一言残すと、玉城さんは立ち上がり、元来た道を走って戻る。



ポツリ、鼻に冷たい雨粒があたった。



途端に降り出した雨。



「美羽ちゃん、無理してたでしょ」



「えぇ?無理なんかしてないよ」



雨に濡れながら、上がるはずのない花火の方向を見つめて。