目の前から伸びてきた手。



親指で拭って。



「もったいない」



全てがスローモーションに見えた。



「え、あ、わ…」



ペロリ、親指を舐めた玉城さんは、そのまま何事もなかったように、食パンにかじりついている。



「た、玉城さん…」



「…?なに、そんな赤い顔して」



「あ、えっ、赤…!?」



ガタガタッと机に体をぶつける私を見て、玉城さんはクスクス笑った。